2012年6月14日木曜日

エネルギー論争の盲点

●エネルギー論争の盲点―天然ガスと分散化が日本を救う (NHK出版新書 356) [新書] 石井 彰 (著) ■内容の一部  適当なメモ ○ヒットラー最大の戦略ミスとされる対ソ開戦は、石油確保のためだった。米英に石油をにぎられていたため、石油不足では結局、負けてしまう。石炭から合成石油をつくっていたが普通の5~10倍のコストになる。ソ連のコーカサスにある、カスピ海油田をねらった。 /* なんでドイツが突然、ソ連を攻めたのか理由を知らなかったが、日本と同じ理由だった。きちんとした理由があった。 */ 太平洋戦争も、石油不足のため。スマトラ島の油田をまずおさえた。 ○供給側の省エネが重要。天然ガス・コンバインドサイクル発電、コジェネレーションなど。 ○長期的には、文明を維持するには、世界人口を減らすこと。 ○石炭はスモッグが問題。霧のロンドン、の霧はスモッグのこと。最近は改善されてスモッグはまれになった。 ○天然ガスは、窒素系の化学肥料の原料となる。エネルギーの産出/投入比率が石油なみに高い。エネルギー効率がよい。 CO2排出量も石炭の半分で石油より30%も少ない。 シェールガス革命で、世界中で埋蔵量が増大し、米国では価格が下がっている。日本には、まだ恩恵がおよんでいない。 /* 日本は、原発事故で、突然、大量にスポットで買いだしたから高くなっているらしい。 電力会社の購入するガス価格が米国の価格より高いのには理由がある。 http://wedge.ismedia.jp/articles/-/1900?page=3 LNGは、液化設備に数千億円かかり高いから、長期契約でないと売る方も困る。 さらにスポット市場の規模が小さい。 中国はシェールガスの採掘に使う水の不足が問題。 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35398?page=3 */ ○エントロピーは、熱量/絶対温度  低温ほどエントロピーが高くなる。低温では利用しにくい。 ○食糧不足  供給が分散されて買い手に資金力があれば市場原理で食糧危機はおこらない。大都市では発生しない。 飢饉は、食料自給率が100%をこえる農村で発生する。大凶作になったとき、資金力がなく、輸送手段もない。 /* 日本は、石油がとまったら農業もすべてがストップするので、自給率を気にしても意味がない。 食料自給率をあげようと農業を守り、TPPを否定すると経済発展が阻害され資金力がなくなり、逆に食糧危機に弱くなる。 */ ○サハリンからパイプラインを引く計画があった。電力会社の抵抗があり立ち消えになった。復活させるべき。 天然ガスは、4000キロメートル以内ならLNGをタンカーで運ぶより、パイプラインで運ぶほうがコストが安い。 東京までは2000キロ程度。原理的には、パイプラインは、都市ガスと同じ。 パイプにすると電力自由化のなかで、途中で独立発電、自家発電が増えて電力会社には不都合だ。電力会社の抵抗がある。 パイプ末端となる電力会社のコストのほうが高くなる。それなら、道路沿いでなく、海底パイプラインにしたらどうか。 途中は、海底なので、独立発電所は、手をだしにくい。土地収用の手間も少ない。 しかし、海底パイプラインは、200キロごとに、陸揚げしてポンプで圧力をあげてやる必要がある。途中で電力会社のコントロールをはなれるかもしれない。LNGのタンカー輸送なら、途中のよりみちがないので、電力会社がコントロールできる。 そのうち、エンロンがからんだカリフォルニアの大停電事故があり、石油につられて天然ガス価格が上昇し、話は下火になった。 /* これからは、安価で豊富でエネルギー効率のよい天然ガスが主役になるだろう。 */ まだまだ、重要な情報がたくさんのっているよい本。

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